-
2020.07.27
歯医者での感染予防対策 口腔外バキュームとエアロゾル
「エアロゾル」という言葉を聞いたことがありますか。
新型コロナウイルスの感染が日本で話題になった頃から、
感染経路の1つの可能性として「エアロゾル感染」という言葉がニュースなどでもよく使われるようになりましたね。エアロゾルとは、歯科医療現場でいうと、唾液・血液・分泌物・切削片・歯磨剤・回転器具の冷却水などを含む霧状の汚染水のことです。
会話やくしゃみなどで飛ぶ唾液やしぶきは「飛沫」といいますが、これよりも粒子が小さいものを指します。
飛沫は水分の重みで落下しますが、エアロゾルは軽いのでしばらく空気中を漂うという特徴があります。
新型コロナウイルス感染を防ぐために歯科で注意が必要なのが、このエアロゾルを介した感染です。歯科治療にハイスピードタービンなどを使うと、飛沫やエアロゾルは半径2mほどの範囲に飛び散ります。
そうすると、エアロゾルに含まれる病原体も空気中に浮遊し、結果として診療室全体が汚染されることになります。
それが診療室にいる人たちの皮膚・粘膜・呼吸器官・傷口などから体内に侵入すると、感染が発生してしまうというわけです。歯科の診療室では、空気のコントロールがとても重要になります。
換気をよくすることはもちろん、診療中にこのエアロゾルを飛散させないようにすることが大事です。そこで効果的なのが、「口腔外バキューム」。
治療中に吸引口を患者様の口元に近づけ、エアロゾルを効率よく吸い取る機器です。これにより、患者様を含めた診療室にいる人たちがエアロゾルを体内に取り込んでしまうことを防ぐことができます。
また、エアロゾルが飛散することを防いでくれるので、汚染範囲を縮小でき、診療室の空気を清潔に保つことができるのです。口腔外バキュームは診療している周囲だけでなく、診療室内の「換気」の役割・機能を備えているため、診療室全体の空気のクリーン化にも一役買っています。
少しでも皆様が安心して受診できるようこれからも努めてまいります。
-
2020.07.22
麻酔後の炎症
むし歯の治療を含め歯科治療では、「浸潤麻酔」と呼ばれる歯科麻酔を使用します。歯科麻酔で使用する注射針は30~33Gというサイズの細い物を使用します。
予防接種や採血の経験がある方は、記憶にあるかと思いますが、程度はそれぞれですが注射針を刺入した部位が一時的に赤くなったり、少し腫れたりすることがあります。
歯科麻酔でも同じです。注射針を刺入した部位は一時的に組織が炎症を起こすため、歯ブラシの際に違和感があったり、炎症が強く出た場合には口内炎のように白くなったりすることがあります。
歯科麻酔では広範囲に麻酔を効かせるために、1か所だけでなく数か所に分けて麻酔をすることがあります。そのためやや広範囲に炎症による違和感が出ることもあります。
ただし、麻酔後の炎症も予防接種等の発赤と同様に、2~3日から1週間程度で症状は落ち着いてきます。
歯周病の進行状態、タバコなどの炎症を増幅させる因子がある場合には、やや症状が強く出たり、長引くこともあります。
-
2020.07.21
受け口の治療
受け口のことを専門的には反対咬合と呼びます。反対咬合には①「下顎の位置的なずれによるもの」、②「歯の位置のずれによるもの」、③「下顎骨の過成長もしくは上顎の劣成長によるもの」のいずれかが原因です。
①の場合は、下顎を正しい位置に誘導するための装置を用いて、下顎を後方に動かしていきます。治療は言葉が分かり指示が通る年齢・月齢である3歳頃から行うことができます。
②の場合には、矯正装置を用いて歯を正しい位置に戻し、噛み合わせの改善を図ります。多くの場合は被蓋関係といい、歯の重なりに問題があるケースがほとんどなので、歯並び全体の治療を通じて改善を図ります。
③の場合は成長発育の段階によってアプローチが異なります。成長期をまだ迎えていない場合には、成長の少ない上顎骨の成長を補助するためのトレーニングを行い上下ともに顎骨の位置関係が正しくなるように誘導していきます。
反対に、成長期が過ぎている場合には、全体の改善をするためには外科的に位置の修正を行わなければなりません。
受け口は多くの場合、幼少期の習癖から来ることが多いため、早めの治療が推奨されます。
-
2020.07.20
上の前歯が開いている!
6才頃から歯がだんだん生えかわってきます。上の前歯が生えかわると、歯と歯の間に隙間ができるいわゆる「すきっぱ」という状態になることがあります。もともと上の前歯は少し横に拡がるように生えてくるため、生えた直後に隙間ができることがあります。
出来た隙間は、前から3番目の犬歯という歯が生えてくるときに、少しずつ横に力をかけながら生えてくるため、時間経過とともに隙間が閉じてくることがあります。
それでも開きが大きいと戻りが弱いときがあります。それは上唇小帯と呼ばれる上唇から伸びているヒダに引っ張られているためです。このヒダが伸びすぎていると前歯が閉じるのを邪魔することがあります。
そのため、生えかわった際に、この上唇小帯が伸びている場合にはその位置を修正するための処置が必要になることがあります。
処置は麻酔後レーザーを用いて行うため、30分ほどで終わり、処置後の出血もほとんどありません。
必ず必要な処置ではありませんが、歯並び予防のためには大切な処置になります。気になる方はご相談ください。
-
2020.07.18
歯と顎の成長発育
歯がある程度生えてくると、隙間が無かったり、反対に隙間が大きかったり、歯が内側に入り込んでいたり、歯並び大丈夫かな?っと心配になることがあると思います。
また、学校や園の検診時にかみ合わせにチェックが入り心配される方もいるかと思います。
歯は生後6か月ごろに下の前歯から生えはじめます。そして2歳半から3歳頃までに乳歯はすべて生えそろいかみ合わせが完成します。
この際に歯が並ぶ顎の成長発育が不十分だと歯並びが窮屈になってしまいます。小さなお子様の場合、鼻の通りが悪くなりやすく、そのためお口で呼吸をしていることもしばしばです。
お口がポカンと開いていることありませんか?
お口がポカンと開いていると、お口の周りの筋肉が正しく機能せずに、筋肉が付着している顎の骨に正しい力が伝わりません。そのためお口が開いている子、閉じている子で成長に差が出てきます。
何気ない癖ですが、お口、歯並びの成長には大きな影響を与えています。
もし、お口がポカンと開いているのを見つけたら、親子でお口が閉じるように取り組んでいくことも歯並び予防の第一歩になりますので実践してみてください(^▽^)/
-
2020.07.14
グラグラした乳歯、抜いたほうがいいの?
6才前後になると、一番奥から6才臼歯と呼ばれる歯が生えてきたり、舌の前歯がグラグラしてきて生えかわったりします。お口の中の第2次成長の始まりです。
通常、子どもの歯がグラグラしてくると大人の歯がその真下まできているので大人の歯が生えてくる場所はもうすでに決まっています。
そのため、グラグラした乳歯には歯並びに影響を与えるような力というのはありません。なので基本的には食事の際に噛むと痛いなどの症状があって支障がある場合には抜歯を行います。この場合、お子様自身の希望がなければ抜歯は必要ではなく自然に生えかわるのを待っても大丈夫です。
グラグラした乳歯で抜歯が必要な場合は、歯茎が炎症を起こし、化膿している場合です。レントゲンで検査後、歯の生えかわりが近い場合、化膿している範囲が広く保存が困難な場合には前後の歯やこれから生えてくる歯への影響を考えて抜歯が必要になることがあります。
つまり、病的な場合、矯正治療の都合でない限りは、自然な生えかわりを待っても大丈夫です。
歯の生え方含めて気になることがありましたら、ご相談ください。
-
2020.07.13
前歯のかぶせ物治療
前歯はお顔・口元を決める大切な部分です。前歯は色・形などが少しでも変わると人に与える印象も大きく変わります。
たとえば、歯が一本だけ色が変わっていったとしたら、大きさが変わってしまったら。
歯とかぶせ物では構成されている物質が異なるため、経時的な変化が異なります。歯の着色は、着色落としや、ホワイトニングなどできれいにすることができます。しかし、かぶせ物にしみ込んだ色は落とすことができません。
そのため、長く色をきれいに保つためには変色の少ない性質が求められます。
また既にかぶせ物(差し歯)が入っている場合には、かぶせ物の土台として金属の材料やファイバー製の白い土台が入っています。
金属材料が入っている場合には、透明感の強い材料を使用した場合に金属色が透けて歯が暗く見えることがあります。
そのため、かぶせ物の材料には遮光性の強いものを選択することが理想的です。
見た目とは関係ありませんが、今後矯正治療を考えられている場合には、セラミックのかぶせ物が入っていると、接着剤が付きにくかったりすることがあるため矯正期間中はセラミックができない場合があります。
それぞれで特徴がありますので分からないことがありましたらお尋ねください!(^^)!
-
2020.07.11
歯のクリーニングって何をするの?
お口のクリーニングと聞くと文字通りお口の中を綺麗にすることです。お口の中の状態にもよりますが、
- 歯の表面の着色を綺麗にすること
- 歯石を除去すること
- 歯の黄ばみを綺麗にすること
など、クリーニングといってもその方法は多岐にわたります。
また、クリーニングではありませんが、歯を綺麗にするという意味では、変色したかぶせ物を綺麗にすることも当てはまるのではないでしょうか。
上記のうち歯石とりは保険診療上、歯周病治療にあたり歯周病の進行状態・歯石の付着状態によって治療の回数と期間が変わってきます。
歯石除去は大きく分けて、
- 歯茎より上の見えるところの歯石除去
- 歯茎の下に隠れている歯石除去
- 外科適応の歯石除去
の3つに分類されます。
歯石除去は、軽度で2回かかり約1週間程度、中等度で約9回かかり期間は1か月半、重度では約半年程かかることもあります。
歯の着色も歯石付着の足場になることがあるため、歯周病予防の観点から着色を落とすだけでなく、歯石の付着を抑えることが重要になります。
-
2020.07.09
定期健診の間隔
むし歯予防、歯周病予防には定期的な検診・クリーニングが必要になります。個々人で歯並びやむし歯のなりやすさは異なります。
なので、定期健診の内容も期間も本来は個人で異なって当然です。
むし歯になりやすい人、歯周病が進行している人はもちろん、これらをしっかり予防したい方は最初月に1回程度で口腔ケアを行い、安定してきたら少しずつ期間をあけていくようにすることをおすすめします。
小さなお子様の場合は、まだ自分自身でしっかりとケアをしていくことが難しいこと、むし歯の治療をした個所はそうでない所に比較してむし歯になりやすいことを踏まえると、しっかりとケアができるようになるまでは間隔を詰めて管理していくことが必要です。
とくに4月、5月は外出することが少なかった方が多かったみたいで、家庭での間食習慣等が不規則になっている方を多く見かけました。
一度むし歯になりかけたりした場合には最初の予防行動が非常に大事になります。
最後の定期健診から期間が開いている方は早めの受診をおすすめします。
-
2020.07.06
乳歯の大事な役割
乳歯がむし歯でも生えかわるからそのままでも・・・ではいけません。
乳歯は大人の歯(永久歯)に生えかわりますが、乳歯には乳歯にしかない大切な役割があります。
乳歯はおよそ生後6か月ごろから生え始め、3歳までに子どもの歯並びは完成します。この乳歯に求められる大きな役割の一つは、永久歯同様「噛む」こと。つまり食事をとるということです。
この時期のかみ合わせは非常に重要で、食事等を介し顔面の筋肉を正しく機能させることで顎顔面領域の正しい成長発育へと導きます。
顎顔面領域の成長発育が不十分だと、のちに生えてくる永久歯の歯並びにも影響を与えます。
また乳歯の生えている位置も非常に重要で、生えかわってくる永久歯の道しるべの役割を持っており、歯並びが窮屈だったりすると後から生えかわってくる永久歯の歯並びが乱れやすくなります。
また早期に乳歯を失ってしまうと、永久歯が生えてくるときにどの方向に進めばいいのか分からなくなってしまいます。
つまり乳歯をしっかり管理することで、健康な永久歯の歯並び・かみ合わせの獲得につながるのです。
一生のうちで乳歯のある期間は短いですが、非常に重要な役割があるため日ごろのケアが大切ですね。
ブログ
- HOME
- ブログ
CATEGORYカテゴリー
RECENT POSTS最近の投稿
TAGタグ
ARCHIVE月別アーカイブ
-
2023年 (9)
-
2022年 (1)
-
2021年 (45)
-
2020年 (83)
-
2019年 (118)